犬の膵炎は重篤で命に関わる可能性があり、すぐに獣医の診療と長期的な食事管理が必要です。膵臓は消化に重要な役割を果たし、食物を分解する酵素を作ります。炎症を起こすと、これらの酵素が早すぎる段階で活性化し、膵臓が事実上自分自身を消化してしまうことがあります。

膵炎の管理と再発予防の最も重要な要素の一つが、厳格な低脂質食です。このガイドでは、膵炎のある犬に与える食事について知っておくべきことを幅広く解説します。
犬の膵炎を理解する
食事の話に入る前に、膵炎とは何か、そして脂肪がなぜそれほど重要なのかを理解しておくことが大切です。
急性膵炎と慢性膵炎
- 急性膵炎: 炎症が突然始まり、多くの場合重い。高脂食(休日の食卓の残りなど)がきっかけになることがあります。
- 慢性膵炎: 持続的な軽度の炎症で、膵臓や周囲の臓器に長期的なダメージを与えることがあります。
なぜ脂肪が「敵」なのか
膵臓は脂肪を分解する酵素リパーゼを分泌します。犬が高脂の食事をすると、膵臓は過剰に働かされます。健康な犬では問題ありませんが、膵炎になりやすい犬では、この過剰な刺激が重い炎症を引き起こすことがあります。
膵炎食の原則
膵炎のある犬の食事を考える・選ぶときは、次の基本原則に従います。
1. 極めて低脂肪
これは譲れない土台です。膵炎の既往がある犬では、乾物質基準で脂肪は通常10%未満(重症例では5〜8%前後が多い)に抑えます。
2. 消化のよいたんぱく質
たんぱく源は脂身が少なく、消化しやすいものにし、消化管全体の負担を減らします。例:
- 茹でた皮なし鶏むね肉
- 七面鳥のむね肉
- 低脂質の白身魚(タラやティラピアなど)
3. 炭水化物は中程度〜低め
消化しやすい複合炭水化物は、膵臓を追い込まずにエネルギーを補います。白米、皮なしじゃがいも、さつまいもはよく耐えられます。
膵炎に適した市販ドッグフード
手作り食も優れた選択ですが、多くの飼い主は市販フードの手軽さと栄養バランスの保証を選びます。
療法食
消化器・膵の問題のある犬向けに配合・試験されているため、獣医師処方の療法食が最も安全なことが多いです。
- Hill's Prescription Diet i/d Low Fat
- Royal Canin Veterinary Diet Gastrointestinal Low Fat
- Purina Pro Plan Veterinary Diets EN Gastroenteric Low Fat
一般用製品
軽症や慢性の場合に獣医が一般用を認めた場合は、体重管理用や「ライト」処方を検討しますが、必ず保証分析を確認し、脂肪率を乾物質基準に換算してください。
絶対に避けるべき食品
膵炎がある場合、次の食品は完全に排除します。
- 脂身の多い肉: ベーコン、ソーセージ、牛肉の脂身、豚バラなど。
- 乳製品: チーズ、バター、アイス、高脂質ヨーグルト。
- 油・脂肪: ココナッツオイル、魚油の過剰摂取、肉の滴り油。
- 人間の食べ残し: 小さな脂身の多いステーキでも再発のきっかけになります。
低脂質食への移行
食事変更は徐々に行い、胃腸をさらに乱さないようにします。
- 1〜2日目: 旧フード75%、新しい低脂質フード25%。
- 3〜4日目: 各50%。
- 5〜6日目: 旧25%、新75%。
- 7日目: 新しい低脂質フード100%。
注:急性発作から回復中の場合、獣医は24〜48時間の絶食の後、すぐに処方の低脂質療法食へ切り替えることを勧めることがあります。
長期的な管理とモニタリング
膵炎の管理は生涯にわたる取り組みです。
- 厳守: おやつでの「ちょい足し」は禁物。高脂のおやつ一つでも再発の原因になります。
- 少量を複数回: 1〜2回の大量給餌より、1日3〜4回の少量が膵臓の負担を減らします。
- 定期的な受診: 定期的な血液検査(特にPLIなど)で、症状が出る前に膵臓の状態を把握できます。
まとめ
膵炎の診断は不安になりますが、厳格な食事管理と低脂質の生活を続ければ、多くの犬は長く快適に暮らせます。膵炎のような疾患では、食事を変える前に必ず獣医に相談してください。


