どの袋や缶にも載っているあの給餌表—体重に応じて何カップ、何グラムと書いてある、あれです。便利そうに見えますが、「推奨量」で太ってしまう犬や、いつもお腹を空かせている猫を目の当たりにすると、何が起きているのか分からなくなります。
実はペットフードの袋に書かれた給餌ガイドは、当てにならないことで知られています。存在しない「平均的なペット」を想定して作られています。実際の必要量は年齢、活動量、代謝、体調、避妊・去勢の有無などで変わるのに、表にはそれが反映されていません。この記事では、袋のガイドがよく外れる理由と、代わりにどう与えればよいかを説明します。
袋の給餌ガイドが誤解を招く理由
1. 「平均的」なエネルギー必要量に基づいている
メーカーは通常、体重帯ごとの維持エネルギー必要量(MER)の平均で給餌表を作っています。しかし「平均」の裏には大きなばらつきがあります。
- 避妊済みで運動不足の成犬は、同じ体重の未去勢で活発な犬より20〜30%少ないカロリーで足りることもあります。
- シニア猫は、同じ体重の若い成猫より少ないカロリーでよいことが多いです。
- 犬種・体型も重要です。同じ体重の細身のグレーハウンドとがっしりしたブルドッグでは必要量が違います。
袋には「運動不足」か「アスリート」かは分からないので、中間で推測しています。その推測が多くのペットには合いません。
2. 体重の幅が広すぎる
表ではたいてい「4〜11kg」「12〜23kg」のように幅の広い帯に分けています。4kgの犬と11kgの犬では必要カロリーはかなり違うのに、同じ給餌量になっています。その結果:
- 帯の軽い方は与えすぎ(太る)になりやすく、
- 帯の重い方は足りない(空腹や痩せ)になりがちです。
計算式がまともでも、使い方が粗いのです。

3. ライフステージや体調を考慮していない
給餌ガイドで区別されないことが多いのは:
- 子犬・子猫(成長で多く必要)
- 成犬・成猫(維持)
- シニア(少なめでよいことが多い)
- 太り気味・痩せ気味(量の調整が必要)
多くの袋は「成犬・成猫の維持」用の表が1つだけ。子犬や太り気味のシニアには当てはまらないのに、多くの人がその表だけを見て与えています。
4. 避妊・去勢を考慮していない
避妊・去勢したペットはエネルギー必要量が低い(多くは20〜30%減)ことが多く、食欲が増すこともあります。同じ体重の未去勢と同じ量を与えると、肥満の典型的な原因になります。袋のガイドに避妊・去勢の有無は書かれていないので、避妊・去勢した子の与えすぎにつながります。
5. 製品・ロットで「1カップあたりカロリー」が変わる
給餌表は、袋の製品を表示通りのカロリー密度で与える前提です。しかし:
- カロリーは製品・フレーバー・ロットで変わります。
- 別フレーバーや「ライト」に変えれば、表は使えません。
- 計り方も重要です。山盛りとすりきりでは実際の量が違います。
表通りに与えていても、与えすぎ・不足になり得ます。
袋のガイド通りに与えるとどうなるか
- 与えすぎ: 特に避妊・去勢や運動不足の子でとても多い。結果は体重増加、肥満、それに伴う健康リスク。
- 不足: 活発な子、未去勢、代謝が高い子で起こり得る。結果は空腹、痩せ、元気低下、体調不良。
- 混乱: 表と現実が合わないと、当てずっぽうで「ちょっと多め」「ちょっと少なめ」と調整する人が多く、明確な目標がありません。
正しくするには、その子の実際のカロリー必要量を計算し、与えているフードに合わせて給餌量に換算するしかありません。
正しい量の与え方
ステップ1: 1日のカロリー必要量(MER)を計算する
**維持エネルギー必要量(MER)**は、健康な体重を維持するために1日に必要なカロリーです。次の要素で決まります。
- 体重(減量・維持・増量のどれを目指すか)
- ライフステージ(子犬・子猫/成犬・成猫/シニア)
- 活動量
- 避妊・去勢の有無
- 体調(理想/太り気味/痩せ気味)
獣医栄養学では RER×ライフステージ・活動係数などの式でMERを推定します。ペット栄養計算ツールを使えば、ペットの情報を入力するだけで1日のカロリー目標が出ます。
ステップ2: フードのカロリー表示を確認する
袋や缶のカロリー表示を探します—通常は1カップあたり、1kgあたり、100gあたりのkcalです。パッケージにない場合はメーカーサイトを確認してください。この数字がないと、カロリーから給餌量に換算できません。詳しくはカロリー表示:正確な給餌の鍵を参照してください。
ステップ3: 1日カロリーを1食あたりカロリーで割る
- 1日カロリー(MER) ÷ 1カップ(または100g)あたりカロリー = 1日あたりのカップ数(または100g数)
- それを与える回数で割ります(犬なら2回、猫なら2〜3回など)。
例:犬の1日必要量が600kcal、フードが1カップ300kcalの場合
600 ÷ 300 = 1日2カップ(1日2回なら1回1カップ)。
これで「画一的な表」ではなくその子用の量になります。
ステップ4: 様子を見て調整する
ボディコンディションスコア(BCS)と体重で、健康な体調を保てているか確認します。太ってきたら少し減らし、痩せてきた・いつも空腹なら増やします。体重・活動・ライフステージが変わったら再計算します。
まとめ
袋の給餌ガイドは便利な目安ですが、あなたのペット専用には作られていません。ライフステージ、活動量、避妊・去勢、体調は考慮されず、幅の広い体重帯で実態に合わないことが多いです。
正確で個別の給餌量にするには:
- ペット栄養計算ツールでその子のMERを計算する。
- フードのカロリー表示でMERを1日あたりのカップ数・グラム数に換算する。
- 量は毎回きちんと計り、体調と体重に合わせて調整する。
その子の目標カロリーとフードのカロリーが分かれば、袋の表は無視して自信を持って与えられます。
正確な給餌量を知りたい方は、無料のペット食事プランナーで体重・年齢・活動・目標に基づいた1日カロリーと推奨量を計算してください—画一的な表ではなく、その子用の数字が出ます。


